アクリル樹脂塗料には、揮発性有機化合物（VOC）や重金属などの有害物質が含まれていることがあります。 これらの物質が環境に放出されると、土壌や水質の汚染を引き起こし、生態系に悪影響を与える可能性があります。 また、塗料の廃棄は、埋め立て地でのスペースの占有や、廃棄物処理施設への過度な負担を引き起こします。

リサイクルの例として、三菱ケミカルグループのSDGsへの取り組みを紹介します。

自動車用の各種素材は、これまで原料を採る→作る→使う→廃棄するという直線型のリニアエコノミーに基づき開発・製造されてきました。 しかし、持続可能な未来のためには、リサイクルを考えた再生可能な原料を使用するなどのサーキュラーエコノミー（循環型経済）への転換が求められています。

サーキュラーエコノミーを実現する三菱ケミカルの取り組みのひとつに、アクリル樹脂のクローズドループリサイクルがあります。 アクリル樹脂は耐熱性や耐久性に優れており、加工もしやすく、自動車軽量化を実現する重要な素材として内外装部材に広く使用されています。

三菱ケミカルでは、主に廃車からアクリル樹脂の部材を回収してケミカルリサイクルすることでMMAモノマーとよばれる原材料を製造し、 再びアクリル樹脂として生まれ変わらせる仕組みを確立しました。 赤色など着色されたアクリル樹脂でも、熱分解で得られる粗MMAを蒸留精製することで無色透明なMMAモノマーにすることが可能です。 現在、アクリル樹脂のケミカルリサイクルの事業化に向け、実証設備を福岡に建設中です。 2023年8月の完工後には具体的な事業化の検討を進める予定で、2030年には処理能力年間1万トン規模の実現を目指しています。

アクリル樹脂塗料のリサイクルは、廃棄物削減と資源の有効活用に向けた重要な取り組みです。 適切なリサイクル方法を実践することで、環境への影響を最小限に抑え、持続可能な社会の実現に貢献することができます。 今後も、アクリル樹脂塗料のリサイクル技術の進歩と普及が期待されます。

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https://heisei-industries.com/service/waste_paint/